やっぱりなぁ…

 高校の生物の教科書や資料集などの「進化」のところでは、脊椎動物は、魚類→両生類→爬虫類ときて、爬虫類から鳥類と哺乳類が生じたように記されている。
 このことが気持ちの中にずっとひっかかっていた。それは、不要窒素の排出の観点からである。
 タンパク質が生体内で分解されると、当然アンモニアを生じる。魚類は水中生活をしているから、そのまんまいつでもアンモニアで出してしまえばよい。両生類の幼生、いわゆるオタマジャクシも同様だ。成体になってオカに上がってからが問題になる。ふんだんに水があるわけではないから、有害なアンモニアを始終水に溶かして排出するわけにはいかない。そこで二酸化炭素と反応させて水溶性の尿素に変え、腎臓で濃縮して排出するようになった。
 爬虫類になると、陸上に殻つきの卵を産むから、発生途上で生じた不要窒素を不溶性の尿酸に変えている。これは水溶性の尿素にすると、卵の中のゴミ集積場とでもいったらよいであろうか、尿囊中の濃度が上昇し、発生中の胚から水分を奪ってしまって干からびさせることになるから、とのことだ。鳥類も同様である。そしてこの尿酸による不要窒素排出は孵化後も続く。鳥の糞の白い部分は、我々で言えば「小便」なのである。
 ところが哺乳類になると一転して、また尿素で排出するようになるのだ。これがちょっとおかしい。
 そもそも進化は一定の方向に進み、後戻りはしないのではなかったか? アンモニア→尿素→尿酸ときて、また尿素に戻った訳について記したものを目にしたことはない。だからひょっとして哺乳類は爬虫類を経ずして両生類から直接に生じたのではないかと考えていた。
 しかし、この点以外に自説を補強する証拠がなく、悶々としていた。
 昨秋、何気なく買った本で「よっしゃぁ!」と叫んだ。「人体 失敗の進化史(遠藤秀紀著 光文社新書)」がそれである。解剖学の見地からヒトの体の進化を解説しているのだが、その中に2種類の肩の骨についての記述がある。それは「烏口骨」と「肩甲骨」についてで、鳥類では肩甲骨が退化し烏口骨が発達する一方、哺乳類ではその逆に、烏口骨を消失させて肩甲骨優位の方向に進化したのだという。
 そして鳥類は爬虫類の中でも恐竜のグループが、空を飛ぶために軽量化などの点から肩甲骨を小さくして烏口骨を発達させたものであり、哺乳類は両生類から直接に生じたとする方が妥当なのだと記されている。
 このような話なら、アンモニア→尿素→尿酸とアンモニア→尿素の2系列の進化系統があったのだということになり、とても納得がいくのである。
 さも「定説」のように言われていることが多々あるが、本当はどうなのか…。色々と考えてみることは面白い。
 C.ダーウィンの「自然選択説」、来年で150年目になる。ホントに自然選択で進化を語れるのだろうか? 自然選択+突然変異のネオ・ダーウィニズムだって分からない。
 もうちょっと勉強してみるか。
 
 
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by luehdorf | 2008-03-09 01:18 | 読書 | Trackback | Comments(8)
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Commented by nomusan at 2008-03-09 22:23 x
う~・・・・難しい(汗)。呑んでない時に出直します・・・。
Commented by luehdorf at 2008-03-10 10:10 x
nomusan様
ボクも素面のときにマジメに考えりゃいいのに、酔っ払って一人でいると、こんなことに気がいっちゃうんですよ…。
どんどん深間にはまって飲み過ぎてしまうことも…(爆)。
Commented by カトカラおんつぁん at 2008-03-10 18:58 x
いきなりアカデミックな話題で読み解くのにたいへんです。でも、言われてみると頷ける話ではありますね。こういうことって疑問に思っていなかったのに、なるほどなあと妙に納得してしまいました。
Commented by luehdorf at 2008-03-10 22:22 x
カトカラおんつぁん様
昨夜はしこたまに酔っ払ってしまいまして、机の上の本を片付けてたら↑の本があり、「そうだ、こいつがあった…」ってな調子でやってしまいました。
もっと他の面からの検証もしてみようと思ってます。懲りずにおつきあいのほどを…。
Commented by pulala-2 at 2008-03-10 22:54
難しいですね・・(@_@;)
でも、ふと、♪人は昔、鳥だったのかもしれないね・・♪という
加藤登紀子さんの歌を思い出しました。
地球の46億年の歴史の中で、鳥は1億5000万年、
でも、ヒト(ホモ・サピエンス)は10万年の歴史しかないのですよね。
鳥の写真を撮りながら不思議な感覚にとらわれることがあります。
Commented by luehdorf at 2008-03-11 14:38 x
pulala-2様
ボクは現在70億人近くいる「ヒト」って、地球にたかっているアタマジラミみたいなもんだと思っています。
そのアタマジラミが「地球にやさしく…」と言う傲慢さ…。
我々の先祖の誕生以前に何があったのか。空想は素面のときでも広がってしまいます。

この曲は詞・曲とも中島みゆきさんですよね?
このお二方の世界がうまく融合しているのも面白いです。
Commented by たにつち at 2008-04-16 22:54 x
ご無沙汰しております。前後のボンバ話もおもしろいですが・・
さすが、この記事j拝読しますと、動物学や生物学をきちんとされた方の見方はちがうんだなあと感動しました。
横から「へええ」と面白がらせていただきますね。
Commented by 蛙太郎 at 2008-04-17 10:28 x
難しいことを考えていらっしゃるのですね。
学のないものには頭が痛いです。
なんといっても蛙の頭ですから。
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