自然とのつきあい方

 一人で林道を歩いていると、下の斜面から物音がした。後ずさりする間もなく顔を出したのはカモシカだった。先方もいきなりの対面に慌てたらしく、後脚を滑らせて腹ばいになり、こちらを見ながらもがいて立ち上がると、道を横切って駆け上がっていった。クマじゃなくて良かった。
 考えてみればこちらが「闖入者」なわけで、あちらの縄張りに入って驚かせているんだ。彼らにすればいい迷惑であろう。
 帰りの道すがら、「クマ除けの鈴」なんてもんも、彼らにとっちゃ鬱陶しいものなのではないかと思ってしまった。クマだって個性があるだろうから、飯を食ってたり昼寝を楽しんでいるときに、「ホ~ラ、ヒト様がやってきたんだよ~」ってな感じで音を発せられたら、「邪魔すんなよ~」って怒るヤツがいてもおかしくはない。いや、いて当然である。そしてそんな手合いに「よくいらっしゃいました」って逆にお迎えに来られたらと考えたら、背筋が寒くなった。
 だってこれが反対になったらクマたちにとっては死活問題なのだから…。ちょっと見下ろした先に畑があり、労せずして餌を摂れる。彼らにとって食うことは生きることだから、それが楽にできるところに出て行くに決まっている。それで人里に下りれば姿を見せただけで銃を持ったヒトに追い立てられ、運が悪けりゃ「ズドン!」である。そこには「絶滅危惧種」なんてカテゴリーは無意味になり、「有害獣」(例え畑なんかを荒らしたりしてなくとも)というくくりが待っている。この天国と地獄ほどの差のある扱いは、みんなヒトの都合なのである。
 だから、野生生物のエリアにボクらが入ったときに、クマの都合で考えられたらと思うと、とても恐ろしいことだ。
 チョウチョやなんかに気がいって、無防備になってしまっている自分を省みた。耳、鼻、目そして空気の肌合いを感じる感覚を鋭敏にし、自然は決して優しくはないということを再認識しなければならないと…。
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by luehdorf | 2007-07-01 02:05 | チョウなど | Trackback | Comments(2)
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Commented by 広島みかん at 2007-07-03 23:26 x
こんばんは。
クマの天国と地獄のお話、とても良い喩えだと思います。
クマがかわいい人たちにとってはクマは「絶滅危惧種」だし、
クマの被害にあっている人たちにとっては「有害獣」。
人間の判断基準ですね。
Commented by luehdorf at 2007-07-04 00:37 x
広島みかんさん
読んでいただいてありがたく思います。
どう折り合いをつけていくのかが難しいことなのでは? 
今日のTVCMに気になるのがひとつ…。どのように料理するか思案中です。
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