得意種目は「吊り輪」です…

 体操の世界選手権(デンマーク)を見た。今回から採点方法が変わり、難度得点のAと実施の際の過失を減点するBの合算による採点方法になった。見ていて思ったことは、B審判の技量が低いんじゃないか?ってことだ。足割れ、静止でのバーの握り替え、不十分なひねりでの車輪の歪み…、こういうのは小過失としての減点が1つの技ごとにあってしかるべきなのだが、果たして体操後進国(失礼な言い方だがあえて…)の審判はきちんと捉えられていない。
 何年か前のアジア大会の吊り輪。池谷(兄)が後方車輪からの倒立できちんと止められず、前に倒れ、振り上り倒立で「ゴマかし」た。倒立が静止して前に倒れるのはこれは技だが、倒立で止まっていないで戻るのだから明らかな過失である。ところが審判はそれを判断できなかった。主審の加藤(澤男)さんはさすがにそれを見逃さず、9.2をつけたのだが、残りの3人が9.7~9.8を出してしまう。当然、加藤さんの点はカットされ、決定点は9.7とかになっちゃう。何たることか、である。確かに演技構成において、「逃げ」を用意することはある。しかしそれも流れを自然にしなければ、見ているものに「アレ?今のヘンだな?」と感じさせてしまうものである。特に審判には…。
 30年前のモントリオールで、あのナディア・コマネチが10点を連発したことでおかしくなった。あの頃から、技の派手さにだけ目がいき、小さな過失を無視する傾向が出てきた。だって、コマネチの段違い平行棒の終末、「後方足裏支持振り出しからひねって後方宙返り(ケステのひねり後方宙)」でのあの足割れはどう見たって0.1~0.2の減点だよ。平均台だって2,3ヶ所でバランスを崩してるし。いつの間にか体操は「きれい」に難しいことをやるんじゃなく、ドタバタとサーカスみたいなことをやって最後の着地が決まれば満場の拍手で「10点」てな感じになってきた。今回からの採点方法は、30年経ってようやく、体操の本道を取り戻そうと言う動きに見えるが、それには国際審判員の技量の向上を図らなくてはならないのではないか。
 スペシャリストが跋扈する体操界、個人総合をとった楊威と富田は貴重なオールラウンダーだ。とりわけ富田の体操は「美しさ」でいったら比類がない。カビの生えた言葉かもしれないが、「日本体操の伝統」を継承している。オリンピック、世界選手権で連勝していた頃の「きれいな線」の日本の体操は、旧ソ連がずっと追いかけたものだった。だからモントリオールの覇者のニコライ・アンドリアノフは、遠征で日本に来ると、塚原(父)さんや加藤さんなどと居酒屋で飲みながら奥義を吸収しようとしたんだ。ロシアのネモフはその集大成だった気がする。そんな観点から見れば、中国は肖欽のあん馬にちょっとそれが見えるが、後はいまひとつである。
 くれぐれもA得点重視にならず、B得点をきちんと採点する流れになってほしいものだ。
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by luehdorf | 2006-10-20 14:05 | スポーツ | Trackback | Comments(0)
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