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工業暗化は…?

昨年の秋ごろ、ちょっと考えていて「おや?」と思った。『工業暗化』についてである。
これイギリスの工業地帯で、工場から排出される煤煙で樹皮が黒ずんできたために、オオシモフリエダシャクの白いタイプが目立って、天敵に捕食される機会が増え、代わりに突然変異型である黒いタイプが、隠蔽効果で捕食機会が少ないので個体数が増えてきた、というもので、方向性選択と呼ばれる自然選択の一類型として例示されている。
では、工業が衰退したり、排出ガスの浄化などが推進され、樹皮を黒くする要因がなくなってきたらどうなるのか?
当然、雨などによって黒ずみの原因が除かれ、白っぽさを生んでいた地衣類も再生してくるのではないか。そうすると、今度は黒いタイプの生存に不利になってくるはずである。とすれば選択の方向は今度は白へ傾いていくのだろうか?と思ったのである。そして、白と黒を行ったりきたりする、まるでオセロのような変遷を「進化」と呼べるのだろうかと。
いろいろと調べてみたら、池田さんの近著にあった。
やはり、環境の浄化によって最近は白いタイプが増えているのだと…。さらには黒いタイプは突然変異などではなく、幼虫が黒い餌を食ったことによる生理的な変化なのだと言う説も出ているとも。
また、福岡伸一氏の本(だったかな?)には、教科書などに載っている黒いのと白いのが写っているあの写真は、実際にはピン刺しの標本を置いた、いわゆる「やらせ」なのだとまで…。
ん~ん、やっぱりこれは「進化」とは言えない。単に環境の変化に対応した個体変異の大きさの揺らぎでしかないのではないか。
C.ダーウィンの『自然選択説』からもう150年が過ぎた。そろそろこれを「淘汰」する説が現れてもいいと思う。

今日はこの曲。

「月影のナポリ」なんかでスマッシュヒットを出していた森山さんの、復活の曲と言えるのかな。
オオシモフリエダシャクの白色型、そして西の方でのモンシロチョウ初見へのエールとして…。
by luehdorf | 2012-03-02 00:01 | チョウなど
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