原理だよ…

話題になっている京大文系の数学入試問題をネットから拾って解いてみた。
ずいぶん簡単になったものである。大問5つの最後の問題だけがちょいと難しいが、あとはみんな教科書レベルのヤツじゃないか。

1番の(1)、余弦定理は使うけど、BDの長さを求めるのはこれ、中学レベルだよ。かつての中2の「相似」の分野で扱っていて、高校入試の図形では頻繁に使われたもの。あとは3辺の長さが分かってるんだから、∠Bの余弦(cos)を求めれば終わり。(∠A=2θとおいて、倍角(数Ⅱの範囲になるけど…)を利用してもいける)
1番の(2)、数えて終わった。そもそも「場合の数」で出てくるPやらCやらってのは、数え方の一般性を示したもの。この問題のように有限個なら1つ1つ数えて何ら問題はないはずなのだ。「1から9までの数から2つとって小さい方をx…」ってことは、xは1から8までの8通り。x=1ならもう片方は2~9の8通り。x=2なら3~9の7通り、…、x=8なら9だけの1通り。とり出しを2回やるんだったら、この場合の数は、8×8+7×7+6×6+…+1×1で終わり。こいつを分子にし、分母は9個のものから2つとる場合だから、9×8÷2=36を2回ってことで、36×36。
2番、1つ「ベクトルOAとベクトルBCが垂直」っていう条件があったから、内積をとってみたら、ベクトルOA,OBとベクトルOA、OCの内積がイコールになった。その結果OB=OCなんだから、2辺とその間の角が等しいことになり、三角形OABと三角形OACが合同ってことだから、ACの長さがABに等しいことが判明。これで四面体の4辺の長さが全部分かったから、それを構成する三角形のどこか1つの内角の余弦が求められ、OA、OB、OCのベクトルの2つずつの内積が決まる。Hが平面ABC上にあることを2つの文字を用いて表してやって(ベクトルABとACが1次独立だから…)、OHがベクトルAB、ACに垂直、すなわちこれらのベクトルとの内積=0、ってやってやれば、2つの文字の連立方程式が出てきて解決。
3番、微分法の方程式・不等式への応用の「定数分離型」の典型パターン。2つのグラフの交点(=共有点)だから、2式を連立させて xの多項式=a の形にし、左辺のグラフを描いてx軸に平行な直線 y=a を上下に動かすだけ…。
4番、条件の3つ目の式の絶対値がx=±2を境界にするから、1つ目の式と絡めると2次関数のグラフは1本で足りる。そうすれば放物線と直線で囲まれた部分の面積に帰結するから終わり。
ちょっとできるコなら「1/6公式」を使って、1/6×3/4{2/3-(-2)}^3=1/8×324/27=64/27、ってやってあっさりなはず。
5番の(1)、「各位が1または2であるn桁の数…」、n個の桁が1または2なんだから総数は2のn乗個(重複順列、すなわち一の位が2通り、十の位が2通り、……、nの位が2通り、これらが「同時に」だから、2をn回かけてやればいい。教科書で「積の法則」として言われていることは、簡単に言えば「続けて起こることあるいは同時に起こることは、それぞれの場合をかけ算すると求められるよ」ってこと。「ある事象がm回起こり、そのそれぞれに対してもう1つの事象がn回…」なんて解説、小学生に分かるわけがない。でも中学入試で「場合の数」は出てくる。彼らにそれを理解させるにはこういった簡単な「言い換え」が必要だった)。
各位が1または2なんだから、1も2も2のn乗の半分、すなわち2の(n-1)乗個出てくることは明らか。後はn桁全部が1である数(これって初項1、公比10の等比数列の初項から第n項までの和)を求め、1と2が2の(n-1)乗個出てくるよっていうのとの積を求めればいい。
(2)、コイツが骨っぽかった。「各桁が0または1また2であるn桁以下の整数」、そうかぁ~!00123は実際は3桁なんだけど、上位2桁が0である5桁の整数なんだ、って気づいたら何とかなった。
あとは常用対数を使ってはさみうち!

1番から4番までは、文系といっても京都を受ける気のあるヤツだったら完答しなくっちゃぁ。
配点を見るとこれだけで8割、十分に合格圏内だもん。
報道を見ると1番からネットに飛ばしている。まるで基本、そして原理ができていないってことでしょ。
難しい問題が「できた」からってそいつが「分かっている」とは限らない。でも「分かってる」ヤツは時間がかかっても「できる」んだ。
原理がどうなってるんだっけ?ってことを常に念頭におくことが必要で、教室の黒板や数学専門の月刊誌なんかに出てくる「エレガントな解答」に憧れるだけじゃ力なんてつきっこない。
運動で大切なのは基礎体力であるのと同様、勉強だって「基礎体力」が必要なんだ。

今回の君、まだ若いんだからきちんと「悔い改め」、今一度「基礎体力」をつけるトレーニングをしてごらん。
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by luehdorf | 2011-03-04 03:15 | いろいろ | Trackback | Comments(8)
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Commented by K.M at 2011-03-05 00:05 x
確かに昔より簡単かなとは思います。(もちろん、私のボケの始まった脳では撃沈間違いなしですが…)

ただ、今回は携帯を使って投稿するという稚拙なカンニング方法だからばれたということで、実際の問題は、現在の最新の無線精密機器を駆使できる専門集団が出れば、携帯を使わず無線で足跡を残さずカンニングができてしまうという現実を世に知らしめてしまったということではないでしょうか?
Commented by itsuki at 2011-03-05 08:06 x
いずれは携帯でこのようなことが起きると思っていたが・・・
あまりにも大胆でやや間抜けなところに唖然としました
でも・・・これで彼の人生は棒に振ると思うと代償は大きいですね
国公立の入試でカンニングはダメですよねぇ・・・・
Commented by カトカラおんつぁん at 2011-03-05 23:58 x
文系頭でボケが入った私の脳みそでは、書いてある回答もろくに理解できません。ルーさんの脳はまだまだ健在ですね。アルコールでやられていないことを証明できています。リスペクトです。
Commented by luehdorf at 2011-03-06 01:39 x
K.M様
エネルギーの使い方として、「どうやってズルするか?」ってことに腐心するなら、「きちんと力をつける」ことの方がずっと安上がりで楽で、そして楽しいことだと思えるのです。

電子辞書なんていう便利なものを持っていてもマトモに使えない連中が大半のこの世の中、アナログ人間のボクにとって、理解不能なことばかりで…。
Commented by luehdorf at 2011-03-06 01:48 x
itsuki様
試験会場を電波が入らないようにするには「電波法」かなんかの縛りがあって簡単にはいかないのだとか…。

それにしても試験監督官、何をやっていたのか…。
左手に持ったケータイを足の間で操作したという報道がありましたが、それならば前から見てたら一目でしょう。(左手で答案用紙を押さえずに解答してるのって不自然ですもの…)
また、後ろから見る(実はこれ結構効果的!)と絶対に左肩が落ちるミョーな格好になってるのが分かったはずなんですよ。
しっかり見てなよぉ~、ってところです。
Commented by luehdorf at 2011-03-06 02:00 x
カトカラおんつぁん様
このニュースが報じられて、TV画面に「…12.11,10で、∠Aの二等分線…」というのが見えたんです。
これをみたとき、ちょっと待て、高校入試レベルだろ?って思って問題を探しました。そうしたらやっぱり…。
仙台の河合塾(旧文理予備校)の京大コースだそうですけど、ちょいとおソマツだなぁと思ったので解答手順だけを書いてしまいました。

まぁ、大騒ぎされたものの「微罪」ですから、これを教訓にしてやり直せばいいんですよ。
そのときはきちんと「基本」から…。
Commented by カトカラおんつぁん at 2011-03-06 08:36 x
3年前までは、旧文理予備校(懐かしい名前ですね)の前を通って県庁まで出勤してました。仙台の町がニュースで流れるってのはいいんですが、もっと明るい話題で全国に流れて欲しいもんですね。
Commented by mmerian at 2011-03-07 09:32
京大の問題はおろか、3流大の問題も解けないと思うので、内容は確認していませんがそうでしたか。
なにせ、中学英語の授業に辞書が要らない時代です。
(単語は、教科書の付録ページだけ使用ですましています)

先日、灘高校の元・カリスマ教師がTV出演していて、1冊の本だけを教科書に中学3年間の国語を教えたと話していました。ですが、1冊の本からいろいろ横飛びして、例えば、「凧上げ」という言葉が出てくると、凧を作り凧あげをやり、「お菓子」ではその当時のお菓子を食べさせる、「百人一首」では大会を、等。言葉は、紙上だけでは理解できないのでと、あらゆる経験を盛り込んだ授業をされていて「そうだそうだ」と頷きながら拝見しました。Ruehdorfさんのおっしゃられるように、「基礎体力」の低下が、今回の事件の原因かもしれませんね。

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