クリスマス・イブ…

12月24日、週例会の帰途、”toto”に寄ってしまった。お客が誰もいなかったからである。
「今日はヒマそうで…」と言うと、「皆さんイブだからどこかで楽しくやってらっしゃるみたいで…」と…。「じゃぁ、静かな誕生日を過ごせそう」。「えっ、今日なんですか?」。「そう…」。「ボクは明後日なんですよ」。「クリスマス・ブイってやつですね」……。
タンカレーのロックで始めてゆっくりと飲んでいた。3杯目にケーブル・グラムを頼んだ。これ、まぁウィスキーのフィズで、基本のレシピはウイスキーとレモンジュースにシロップを少し加えてシェークし、氷の入ったタンブラーに入れてソーダを注ぐ、と言うのだが、以前、池袋のショットバーで「バーボンベースのカクテルを…」と頼んだら、レモンの代わりにグレープフルーツを使って、「ケーブル・グラムの変形ですけど…」と出してくれた。これがなかなかにいけるので、「変形」の方を初めて行ったときにお願いしたのだった。
冷蔵庫からグレープフルーツを取り出し、包丁を構えながらマスターが言った。
「高校のときなんですけど、生物の先生に『ソロモンの指環』って言う本を読まされたんですよ」。「あぁ、ローレンツのね。結構面白かったでしょ」と答えながら、アンテナに引っかかりを感じた。
マスターがこの沿線に実家のあることは聞いていた。そこで、「ひょっとして、都立Bの出身?」と聞くと、「えぇそうですけど、分かりますか?」と…。「じゃぁ、その生物の先生ってI さんでしょ」。グレープフルーツを絞る手が止まってビックリした顔になった。
「何でそんなことが分かるんですか?」。それには答えずに「さっきウサギって言ってたでしょ? じゃぁ卒業のときにI さん、Kに異動したよね…」と追い討ちをかけた。
「何で、何で…」と慌てている。人の慌てる姿って面白いものだから、タンカレーをすすりながらニヤニヤと時間を稼いだ。

そして種明かし。
実は、ボクはI さんの息子さんとつながりがあり、よく父親の話を聞いていた。『ソロモンの指環』の話も、ボクがこれを手にしているのを見て、「ウチの親父、Bの生物の夏の課題で生徒に読ませてるんです」と…。そしてこの息子が「丙午」の世代、ウサギとは入学と卒業の関係にあり、息子がB志望だったものだから、入学を機会に以前から誘いのあったKへ異動したという経緯があったのである。
この息子、大学生のときにバイク事故(いわゆる「右直」で、しかも友人が割れたメーターを操作したものだから本人の過失がゼロという信じられない結果に…)で3週間あまり意識不明になるということがあった。そのときには真っ先にボクのところへI 先生から連絡があり、「ひょっとすると助からないかもしれないから、何とか心臓の動いているうちに見に来てくれないか」と言われ、ICUにまで入ったことがあった。
結局、意識は戻り、頭の方の後遺症はなく、大腿部の粉砕骨折と左の薬指・小指の機能障害を残しただけで社会復帰できた。笑えるのは、小指が完全につぶれ、医者は切断を勧めたらしいのだが、居合わせた友人たちが、「先生、この顔で小指がなかったら、この先コイツはその方面の人間と間違えられます。動かなくっても残してやってください」と懇願したのだと…。そのうちの一人と飲んだときに聞かされて、ボクは激しく同意したものだった。
そんな話をしたら、「いやぁ、世間ってホントに狭いもんですネェ…」と落ち着きを取り戻し、うまいケーブルグラムを作ってくれた。
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by luehdorf | 2011-03-01 00:27 | 酔っ払い | Trackback | Comments(6)
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Commented by itsuki at 2011-03-01 08:17 x
「続編」もとても面白い展開ですね
 
 ボクもボルネオの先輩に40年ぶりに会ったのは・・・・
 偶々5月の連休中に実家に居たら ブログ友のHさんが来て
 写真の話をしてて・・・・その中で「変なおっさんが居て600mmを持って
 ミカドを撮ってるけど チョウに詳しい人みたいだよ」と・・・
 地元で年齢が近い人でチョウ屋さんは誰だろうと思って色々聞いたら
 どうも高校の先輩らしい・・・・・
 「もしかして・・・その人〇〇世古って言う人じゃないですか?」と聞いたら
 「ああ・・・そうかも知れない」と言うので 即電話番号を聞いて連絡したら
 丁度ボルネオに出発する前日だったんです
 40年も会っていなかった先輩が1本の電話ですぐ会えました(笑)
 今では ボルネオから態々会いに来てくれますよ~~~
Commented by カトカラ at 2011-03-01 21:16 x
よく世の中、広いようで狭いもんよなどというセリフを耳にしますが,それを地でいくようなお話。事実は小説より奇なりですねえ。

連想する力がないと、こういう展開にはなりませんから、だれでも出来るってことじゃないと思います。

私などは,片っ端から忘れて行くので,思い出せないまま終わっちゃうことになりますね。きっと。

それにしても、ルーさんの記憶力と第六感の鋭さに改めてリスペクトです。
Commented by luehdorf at 2011-03-01 23:39 x
itsuki様
他の客がいなかったのでいろいろと話せたものですから…。
特にその前に ↓ のS田さんの話が出たとき、「チョウチョを採ってる人がそんなに多くないのに、ここでつながっちゃうってのは…」とマスターが驚いていたんですよね。
でも少ないからつながってしまうってことも…(笑)。

まぁ、おいしい酒を飲ませてもらってます。

Commented by luehdorf at 2011-03-01 23:49 x
カトカラおんつぁん様
Ⅰ先生のご子息M君の世代は面白い連中がいっぱいいまして、ボクの印象によく残っているんです。いいこと、時としてはちょいと悪いことも仲間みんなが結束し、まとめてほめられたり叱られたりしていた子どもたちでした。
ボクもまだ30そこそこで血気盛んな頃、思い切り身体を張ってぶつかってた時代でしたから、特に記憶が鮮明なのです。
Commented by nomusan at 2011-03-04 22:54 x
う~ん・・・・・・
ここまで出遅れるとは・・・・
何と、情けなや・・・・・
もはや、とりあえず足跡を残すのみ・・・・・
Commented by luehdorf at 2011-03-06 01:04 x
呑むさん様
何の…、お気遣いなく。
ここのところ仕事が少し暇になり、PCに向かって文書作成ばかりやってますと、あれやこれやと書いてみたくなる、という気まぐれの為せることですので…。
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