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ミッションHG…

4月24日、久留米のN様から「『ミッションHG』ということで信州へ…」とのメールを頂戴した。GWはいつも信州で遊んでいるので異存はない。しかし、ヒメギフをと言われると少しばかり自信がなくなる。
東北人であるボクは、実家周辺で飽きるほどヒメギフを追いかけていたので、ギフと天秤にかけるとどうしてもヒメギフの方が軽くなる。したがって「信濃ヒメ」と言われると、入笠とか松本周辺とかしか思い浮かばないものだから…。
その後の連絡で、ガイドを務めてくださる優秀な方々が集まるとのことを知り、こちらは「後方支援」および「補給」をメインにすればよいとの結論に達した。
5月1日、「輸送担当」のP様のブログによれば早朝6時に出発し、昼過ぎには大阪に着くとのこと。こちらも準備にかかり始めた。
まずは弁当。我が家の定番は「おにぎり+いなりずし」で、いなりずしの担当がボクなのである。近くの豆腐屋へ出向き、「揚げの開きやすそうなところを…」と…。そして京都のお生まれのP様、東京生まれで(少し)横浜育ちとはいえ、青春の一時期を京都で過ごされたN様のことを考え、いつもよりも薄味で揚げを煮た。そんなことをしながら家中の掃除などの雑用も済ませる。こちらは偶然に休みとなったが、連休を暦通りに休むためにパートナーは仕事に出ているのだから…。
夕刻、帰宅したパートナーの体調がいまひとつであった。熱はないものの咳がひどくだるそうにしている。入浴と夕食を済ませて仮眠をとってもらう。
11時過ぎになってこちらは本格始動。いなりずし用のご飯は、合わせ酢をうった酢飯と梅酢、紅生姜のみじん切りにごま塩を合わせた飯の2種類を用意した。さらにおにぎり用の米を研ぐ。
12時前、パートナーが起きてくる。彼女が身支度を整えている間にご飯が炊き上がり、具(梅、カツオブシ、昆布)のセットを済ませて洗い物にかかる。その後、テルモスに詰めるコーヒーを落としたりして、仕度が完了したのは明けて2日の1時過ぎだった。
残ったコーヒーを1杯ずつ飲んで一息入れてから家を出る。関越の練馬に入ったのはちょうど2時だった。
鶴ヶ島で圏央道に入り中央道へ…。さすがにこの時間では快調である。早朝5時過ぎに豊科を出て、高瀬川の右岸を走る道で道の駅・松川に入りトイレ休憩をする。このときの気温が2℃。車内はヒーターで暖め、毛布もかけていたのだが、下りたときに冷気を吸ってパートナーの咳がひどくなる。早々に車に戻り、ヒーターを最強にして落ち着くのを待つ。温かいお茶を飲んで少し落ち着いたので、川を渡って池田に出、県道を大町方面に進む。この道の方がR147よりも信号が少なく、大町の南借馬までは早く着ける。20年以上も前、かわいがってくださった「信濃毎日」の記者の方から教えていただいた道である。
6時過ぎに前夜N様から聞いた場所に行き着くも有名な「青春のBD号」の姿がない。「ひょっとして道の駅へ移動したかも?」と国道を戻るもそこにもない。電話をするとどうもオリンピック道路沿いにも同じような場所があるみたいだ。国道から外れて行ってみると「BD号」がある。そしてカメラを手に活動を始めようとするN様の後姿が…。「BD号」の脇に駐車して挨拶を交わす。パートナーとN様は3年半ぶりになるのか…。
「支援物資」を手渡した後、P様が入れてくださったコーヒーをいただいてしばし談笑。こちらの事情を話し、お出でになるK様などに挨拶を済ませて7時半に現地を発った。
宿に着いて一息入れていると、「こんないい天気だし、その辺に出てみようよ…」。幾分調子を取り戻したパートナーが言うものだから崖の湯周辺を周って見ることにする。
初めに高ボッチに寄ったポイントに入る。入り口には大阪ナンバーの車があり、脇で佇む方がいた。状況を尋ねると全くダメであると言う。自分の目で確かめるべく林道に入ると、しばらく行った先に品川ナンバーのセダンが停まっていて、その先を下ってくる若い人が…。「全く見ません。この先にも4、5人入ってるんですけどnullです」と…。30分ほどうろついてから下のポイントに移動する。車から降りてカラマツ林の中の小道を下る。先がカーブしているところに陽の当たる「たまり場」があったはずだ。10分、15分…、待っても翔ぶ姿は見えない。気温はそこそこでも風が冷たい。日光浴を楽しむルリタテハがいたので遊んでもらった。スゥーッと旋回して枯葉の上に舞い降り、陽の光が正確に翅や体に当たるように向きを変えてから開翅する。
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ルリタテハ 長野県松本市 2.May.2010

10分ほど遊んで戻ると、「車の周りを翔ぶんだけど…」と…。聞くと、カーブ下の斜面から舞い上がってきて車に絡み、また下りていくのだとか…。ちょうど行きあわせた女性が「へぇ、どんなチョウチョなんですか?」とか聞いてきて、3人で様子見をしているところに関西弁の若者がやってきた。ヒメ初体験で、諏訪の方のペンション「F」のオーナーに教えられてはるばる来たのだと言う。「人はいないし、ホンマこんなところで採れるんかいな、って思いながら歩いてました」。「そこに出てきてるって言うからがんばってみれば」。「採らしてもらっていいんですか?」。「初めて」と言う人には採らせてやりたい気持ちが優先した。ほどなく車に絡むヒメが現れた。「ホラ来たよ」と言うと、青年は思い切りダッシュして振った。外した。ネットをかわしたヒメは翔ぶスピードを少し速めて斜面を下った。青年も猛然と追いかける。何か声がしたので採れたと思った。
5分ほどして彼は息を切らして登ってきた。「ブッシュには入られてもうて…」と肩を落としている。聞けば葛城山のギフを見せられて目覚めて3年目、ヒメで166種になると言う。「ここにいさせてもろていいですか?」というから、「待っててみれば」と…。
話をしながら見ているボクらの前には一向に姿を見せない。車に戻って助手席で休んでいたパートナーが「あそこ!」と声をかけてきた。指差す方を見ると道の反対側の斜面を舞っている。そしてそれが木の枝に静止するのが見えた。姿も確認せずに登り始めた青年は全く別の方向に進もうとしている。「左だよ!」と声をかけながらこちらは直登する。軌道を修正してきた彼に、「これの先の木の枝に止まってる」と指示すると、今度は間違うことなく進んだ。彼が行き着く寸前に舞い上がったヒメがふんわりと枯葉の上に舞い降りる。しっかりと確認した彼は少し慌てながらネットをかぶせた。ネットの裾を持ち上げるとヒメは捕われたことを知らぬかのように舞った。
戻ってきた青年は、「まだ手が震えて…」と言いながら、「おかげで採れました。ありがとうございます」と…。そして車から降りて見守っていたパートナーに、「奥さんの目はすごいですね。ボクなんか目の前を翔ばれてやっとだったのに…」と…。
時刻は午後の2時近く、ほぼ徹夜で出てきたこちらは少し疲れを感じてきた。「じゃぁ、がんばって!」と声をかけて宿に向かった。
お茶を一服してベッドに横になっていると眠ってしまった。目を覚まして風呂に入り、N様に電話を入れると首尾よく撮影に成功したとのこと…。明日は自販機で見つけた面白い飲料を差し入れしようか…。
by luehdorf | 2010-05-06 01:08 | チョウなど
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