採集禁止への処し方

 忙しすぎて更新もままならなかった。'07の年頭にあたって覚悟を記しておこう。
 「採って」いるとネックになるのが、地方自治体の条例などによる「採集禁止」という枷せである。ギフチョウに関していえば、山形県の大石田が最初だったんではないだろうか。外国人の陶芸家かなんかが、採ることはいけないとかいって町を煽ったように聞いている。川前というポイントは小山のすそに田んぼが広がったところで、山に人の手は入っていないものの、畦道のコシノカンアオイや奥に入った休耕田の脇のウスバサイシンに、ギフやヒメギフの卵がたくさんついていて、決して危うい状況ではなかった。変な産み方をしてるな? と思って3卵持ち帰り、雑種が出たのもその頃だ。だから大石田が採集禁止になるということを聞いて、最初に感じたのは「何でなの?」ということだった。
 確かにその2,3年前、朝日新聞の「青鉛筆」に「大石田のギフやヒメギフがワンペア5万円で…」みたいな記事が載った。「何をたわけたことを」と都内の標本屋を周ってみたが、1頭2,000円もしなかったことを記憶している。こんないい加減な報道から、白馬だ飯田だと採集禁止を掲げる所が増えてきた。白馬に至っては、オリンピックのジャンプ台建設に伴う環境アセスメントの結果、「いない」といっときながらの「採集禁止」。これじゃ「採り屋」に、「いないものをどうやって採るんだ!」って開き直られるのは当たり前で、訳のわからんこと夥しい。その他の地も、「保護してる」と看板には書くものの、具体的な方策がとられていない。山梨県の旧富沢村のあるポイントなんか、20年近くの間に日本の林野行政の貧困さの象徴であるスギがボウボウに伸びて、あれじゃギフが世代を繋いでいくことなんてできっこないっていう状況になっている。
 こんな決めに対して、ボクはソクラテスじゃないから、「悪法も法」と諾々と従うつもりもないし、「ダメなものはダメ」という教条的思想も持ち合わせていないから、堂々と「採らせて」戴く。唯一、赤城のヒメギフには手を出さない。地元のチョウ屋が食草やら卵、そして幼虫や成虫のカウントをしっかりとやっているからである。このようなデータ集積は、いずれ赤城のヒメギフが人の手を借りずとも、環境整備をするだけで増えていくかあるいは消えてしまうのかという命題への重要な解答を産む貴重な仕事であると考えるからだ。それを邪魔してはならないのは「採り屋」の最低のマナーであると思う。
 ある県の担当官が、「行政が自然破壊をするのは許されるが、採集者が採るのは許されないこと…」やらの発言をしたとか。バッカじゃなかろうか。「貴重だ」とかなんとか情緒的なことばをくっつけて勝手に条例を制定しときながら、自分らだけはその埒外だと…。こういう権力の濫用には、力を持たないボクらはゲリラ的に対抗していくしかない。池田清彦氏が山梨大にいた頃、山形のチョウアカの話題になったとき、「オレはさ公務員だからヤバイんだよ。だからさ場所教えるからお前行って来いよ」と卵の採集をそそのかした。いいですよ。ボクは何も失うもんなんかないって思ってるから、きっちりと採らせてもらいます。
 3月26日、本年の振り初めを山梨県南部町で…。
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by luehdorf | 2007-01-11 14:02 | チョウなど | Trackback | Comments(0)
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