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南岸低気圧

絶え間なく降る雪を見て、上京した年を思い出した。
あのときは確か3月4日、学科試験の2日目だった。
3月の東京でこんなに降るのかよ、と思いつつ電車に乗り、新宿の中央改札で小田急に乗ってしまった。
窓の外の景色が前日と違う。?と思って停車駅の表示を見ると『下北沢』。知らないよこんな駅…。間違いに気づき、慌てて飛び降りて反対側のホームに来た上りに乗り換えた。
新宿の改札で駅員に事情を話し、そのまま通過させてもらって京王線にダッシュした。
自動改札の現在なら、小田急の改札に切符を投入したときにはじかれたのだろうが、当時は駅員がパンチを使っていた頃だから、乗り換え切符のチェックも結構いい加減だったのだろう。
下車駅からもダッシュして試験場に着くと、開始から5分経っていた。正門前では「あの頃」のことであるから、院生や4年生が警備に立っていた(オリンピックチャンピオンの加藤さんもいたから驚いた)。「すみません。新宿で電車を乗り間違えて遅れてしまいました」と受験票を出しながら言うと、一人の方が、「大丈夫だ。一緒に来い」と言って教室までついてきてくれた。その方が小さくドアをノックし、監督官に事情を伝えてくれて入室を許された。
問題用紙を渡されて落ち着いたけれど、結構動揺したなぁ。
この2日後が実技の初日。グラウンドにはまだ雪が所々残っていた。
最初が陸上のハイジャンプ。助走路はアンツーカーの保護のためかむしろが敷いてあった。それが濡れているので踏み切りの際に足が滑る。そして着地点は砂場で、これも濡れて砂が硬くなっている。試験官は「無理はしないでいいぞ」と言ってくれたのに、周りはずいぶんと一生懸命にやってたっけ…。
実はこのとき、こちらはヒドイ二日酔いだった。前日に学科が終わったら、寮の先輩たちが「合格祝いだぁ!」と…。
電気ポットで燗をした日本酒そしてサントリーのレッドの大瓶。初めて呑むのだからペースなんか分からない。注がれるままに呑み、気づいたらベッドに寝かされていた。
朝、「時間だぞ」と声をかけられて起きると、周りがゆがんで見える。「大丈夫か?」と言われても「ダメです」とは言えない。着替えの入ったバッグを肩にかけて電車に乗った。
順番を待つ間、中学、高校と一緒だったSがやってきた。「おはよう」と言うと、「お前、何?すごく酒臭いぞ」。そうか、道理で自分の周囲にあまり人がいなかったはずだ。訳を話すと、「お前ネェ、まだ試験があるんです、って断らなきゃ」。「だよなぁ」と言いつつ、それができる性格じゃないと心の中で思っていた。
とにかく、バーが歪んで見えてどう跳べばいいのかも分からない。「無理するな」の試験官の言葉に従い、1本だけ跳んで、「終わります」と宣言した。走るのと投げるのもあったのだが、雪のせいでグラウンド状態が悪いから、1種目でいいとなったのもラッキーだった。
このときの呑み方が幸い(?)だったのか、入学すると、先輩たちからは何かにつけてお誘いがあった。だから南岸低気圧はすぐにお酒と結びついてしまう。

今日はこの曲。

by luehdorf | 2012-03-01 01:05 | いろいろ
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